カテゴリ:建築( 108 )
菊竹清訓-「人」となりの魅力
12月7日、「菊竹清訓の建築」について山本大輔さんの講義が島根大学の授業の一環として行われました。菊竹作品が多数存在する島根県松江市で学ぶ学生に対して、実際に見たいと思わせるような、手がかり・指針を示す講義となりました。
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一般参加の私共にとっても、初めて紹介されるエピソードがたくさんありました。例えば、出雲大社庁舎(ちょうのや)のルーバーが「はでぎ」の形状再現であるだけでなく、棚田のシステムを装置として再現したものであること、旧県立博物館(現竹島資料館)の屏風状の鉄のルーバーが回転する3枚の羽根でできていて、自然換気・自然採光の装置として考案されたものであること(実際は重くてあまり稼働していない)、東光園の構造柱が細い柱の組柱として設計されていることなど、構造や設備自身がデザインの推進力となる、たくさんの種を播かれたんだなあと改めて思いました。
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何よりも菊竹建築の中に入ると、気持ちが生き生きとします。共同製作者(門扉やレリーフのデザインなど)もいかにも嬉しそうに協奏しているのがわかります。そうした現場の躍動感があの時代の宝だったのではないか。
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出生地・久留米には、西流する筑後川に夕日が落ちる風景がありました。その原風景は宍道湖から大橋川への水辺に重なります。きっと松江の風景にも愛着を持たれただろう。

私も似たことをパリにいた時にセーヌ河畔で、また教会の内部で感じたことがあります。なぜ教会堂が東西に長く、バラ窓を西に置くことにこだわるのか、夕刻のステンドグラスの光が堂内に深く差してくる時が一番祈りたくなる時なのです。内部の不必要なまでの高さはその光のためと言ってもいい。
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いろいろな刺激を頂いた講義でした。

さて、 菊竹先生が審査委員長を務められた大社町のコンペに参加したことがあります。気違いだとうわさされていた菊竹先生に、えらく紳士的な優しい声で「それでは寺本先生どうぞ」と言われて、勝手が狂って寺本は上がってしまったそうです。コンペには負け、タバコとお酒は相変わらずですが。(礼)

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by trmt-ken | 2018-12-07 17:38 | 建築 | Comments(0)
原寸模型という流儀-現場だより-
鉄の門扉制作にあたって、現場に原寸模型が登場した。
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高さ、ピッチ、引手など図面ではなかなか実感できないところも原寸だと本能的に判断できる。
重さを表現するためベニヤを黒く塗装する凝りように、全員「おう!」がぜん力が入る。
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原寸模型は「確認」だけではない。次への一歩。新しい展開へ。物を作る人だけにわかるステップ。・・・だから現場に行くと元気が出る。

鉄という素材、コンクリートブロックという素材、そのものをめでて一段一段愚直に積まれています。ブロックもt190や型枠ブロックは重たくて腰痛との勝負。鉄筋を溶接しながら壁が昇ります。
鉄の石川さんはタオル鉢巻が定番スタイル。寒くなっても熱い現場です。
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by trmt-ken | 2018-11-29 16:49 | 建築 | Comments(0)
菊竹清訓の建築へ【ご案内】
11月23日島根大学の授業の一環として実施された県立図書館の実測発表会は、充実した会となりました。2回生だけでは勿体ないのではと細田先生に相談したところ、 次回12月7日の山本大輔氏による菊竹建築レクチャーは 学外応援団も参加可能な会として下さるそうです。金曜日の朝、早起きしてどうぞご参加ください。

山本大輔さん(島根県庁)による菊竹作品レクチャー
日時 12月7日(金) 8:30-10:00
場所 島根大学総合理工学部 3号館 2階 209室

学部2年生の講義の一環として実施しますので、学外者の方で聴講を希望される方は以下まで事前申し込みをお願いします。

Email: t.hosodaariko.shimane-u.ac.jp


島大総理 建築デザイン学科 細田宛


(「a」を@に変換して送信ください。)



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by trmt-ken | 2018-11-25 16:55 | 建築 | Comments(0)
大人が本気で夢中になる時-県立図書館-
建築やっててよかったなと思う瞬間は、大のおとなが本気で夢中になっているのを目の当たりにしたとき。
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壁のエッジをシャープにすること、取り合いの縁を切ってすっくと立たせること、夕日に壁が赤く照り映えるようにすること・・・金銭にかかわらないそんなささやかな喜びに夢中になる大人がここにいる。仕事と趣味のはざまで。どきどきするのは説明のつく道理ではむしろない。小さな喜び、その集積。堀を隔てた城山の緑が反射光とともに内部に導かれ、そこにいる幸せが読書と分かちがたく結びつき、青春時代のかけがえのない体験になる。
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実測の発表会に学外応援団として参加。久留米の徳雲寺納骨堂、国立京都国際会館コンペ案など菊竹清訓の他作品の紹介や、スペシャリスト山本大輔氏の解説もあり、充実した発表会でした。京都国際会館コンペ落選後はさすがの菊竹氏が「ぐれた」とか。現場監理とは「設計」と心得よとか、なぜか納得!のエピソードも。

図書館外には菊竹氏へのオマージュとしての自転車小屋が新設された。45度に配置されたシャープな壁が堀に開く。
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おとなの本気、それを追求していく人の熱気、そうした熱が建築に血を通わせる。
図書館のほかにも武道館、田部美術館、県立美術館、県立博物館と菊竹作品の宝庫である島根県。若い方にも大人の熱気が伝わっただろうか。(礼)

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by trmt-ken | 2018-11-24 17:35 | 建築 | Comments(0)
ワークショップという「直接民主主義」
こども園の設計にあたり、保育士・保護者が集まってワークショップが開かれました。大変な量の意見の底に「大筋の骨格」がじわりと見えて来る、充実した2時間となりました。
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「デザイン重視の形の遊びは不要!」と、のっけから設計者には鮮烈なブロー。要望ということは、設計という行為に対する現場からの批判でもあります。現場の切実な要望に答えなければ「設計」とは言えないと思います。原点に立ち帰ることを肝に銘じて。

こどものための空間は、当事者の「こども」自身が発言しないので、そばにいる人たちの様々な角度からの想像力が求められます。安全であるか、気持ちいいか、夢があるか・・・。
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5グループがそれぞれ発表

これから年末にかけてさらに2回の集まりを経て、新たな園舎の姿が見えて来ます。設計者に、また特別参加の学生さんにとっても、とても勉強になる機会となりました。

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by trmt-ken | 2018-11-16 18:44 | 建築 | Comments(0)
飯南高校寄宿舎のこと
昨夜は「鶴瓶の家族に乾杯!」が島根県飯南町を取材していました。
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飯南高校寄宿舎は、琴引山スキー場をのぞみグラウンドを見下す丘に立っています。冬は雪除け、夏は日除けを兼ねた歩廊(雁木デッキと称する)で、夏休みの生徒たちが談笑していました。冬場は通学もままならぬ豪雪地帯のため寄宿舎が必要で、当初より県境を越えて広島や岡山からも生徒が集まると聞いていましたが、今は遠く関西や東京からも「留学」しているようです。
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番組最後には2人用居室も紹介されました。造り付け収納の上に組み込まれたベッドがあります。実は、ここには代官山同潤会アパートの独身館にあったベッドアルコーブ、パリ国際大学都市・ベルギー館寄宿舎の巨大家具ベッドなどの残像があるのです。自宅個室のベッドも実は同じ造りで、ほかにスペースがないわけではないのに、わざわざ毎晩梯子を昇ってねぐらに潜り込みます。現在工事中の住宅にも計画しています。なぜだろう・・・。
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寄宿舎建設に関係した方々とは今もなにかと良いご縁があります。また生徒たちが道で出会っても、みんな挨拶してくれるそうです。あたたかな関係がいつまでも続きますように。
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新築計画にあたって、寄宿生が後輩のために出した意見の花ざかり(ワークショップにて)これでも3分の1です。

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by trmt-ken | 2018-10-23 07:16 | 建築 | Comments(0)
コンクリートブロックの現場より
米子にて、コンクリートブロックの住宅現場が進行中。ことさら暑い夏に台風続きの中、一段一段積み上げられています。防火サッシが入るため特殊形状のブロックを九州より運びました。工程表はいつまでも、いつまでも、ブロック積のみ。それでも毎週の工程会議では、材料や色やおさまりなど延々と議論が続きます。議論を楽しんでいる…現場です。
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門扉制作の石川さんが現れると、レクチャーがはじまる。錆を育てる話、わだちや靴やが鉄の表面を創る話…結構荒っぽい過程が、面白い効果も生む。厚味があって初めて錆に味わいがでるとか。奥の深い話に触発されて、鉄にはこれからどのように活躍してもらおうか。これからは鉄板が敷かれていても、必ずしも工事現場ではないですよ。
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by trmt-ken | 2018-10-05 17:24 | 建築 | Comments(0)
建築評論への視線-1 プリツカー賞の価値観
建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞は、1979年にアメリカ人実業家であるジェイ・プリツカーとその妻シンディによって設立された賞です。毎年1人(または1グループ)の建築家が受賞しています。第1回はフィリップジョンソン、第2回はルイスバラガン・・・と続き、今年は41回目でインドのバルクリシュナ・ドーシが受賞です。昨年はスペインの3人組RCRアーキテクツ、一昨年はチリのアレハンドロ・アラベナでした。安藤忠雄やSANAAなど何人かの日本人も受賞しています。

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B ドーシと事務所

そのプリツカー賞の価値観について眺めてみよう・・・と思っています。1979年というと、建築は後期モダニズムに入ったころですので、世界の後期モダニズム建築の代表的価値観を考察することになります。
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RCRアーキテクツと事務所

前期モダニズム時代には建築評論という分野があり、日本では川添登や伊藤ていじなど建築評論家と呼ばれる人達が活躍していましたが、近年はジャーナリズムで建築評論を見かけることはほとんどなくなってしまいました。建築評論の不在です。

建築評論が珍しくなった・・・といっても、「こんな建築が好ましい、あの建築はダメ」という議論は多くの建築現場で日常的に行なわれています。また、各種の表彰や設計者選定プロポーザルでは、「選考や評価、講評」などが繰り返し行われています。この様に「建築の論評」は常に行われてはいるのです。

この春の「住処・棲家の自然 第1章 現代(モダニズム)建築の現在」は近年のモダニズム建築総体に対する批判・・・という側面を持ってはいますが、評論としてもっともっと踏み込む必要があると考えています。「どういう建築が好ましいか、あの建築は何故よいか、またはダメか」についてのオープンな議論が必要と思い、その一つの試みとしてプリツカー賞の考察に向かってみることにしました。(和)

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by trmt-ken | 2018-08-28 18:17 | 建築 | Comments(0)
プール開き
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先日雲南市B&Gプールの竣工式がありました。既存体育館にほぼ同規模のプールを増築しました。
高齢者の健康増進への期待もあり、25mプール、子供プールのほか歩行専用プール、ジャグジーを備えています。
加茂川と、公園を背景とする立地を活かし開放的な構成です。
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テープカットの後、元オリンピック選手による泳ぎ、シンクロ、子供神楽などの披露がありました。
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by trmt-ken | 2018-07-10 20:08 | 建築 | Comments(0)
宍道日曜市に集合!
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宍道公民館・支所にて、地元の若者が「日曜市場」を計画とのこと、出かけてみました。
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駅前の前庭には青テントが並び、
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中庭には色とりどりのテント。屋台やフリーマーケットが出店。売り切れごめんの店も。
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子育て支援室が併設されており、安全な柵の中は子供がいっぱい。
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竣工時イメージ図

なかなか写真では一枚に収まりませんが、前庭・中庭・奥の庭園などの外部空間を庇やホールが囲む構成を活かした催しだと思います。作り手と買い手のキャッチボール、外と中の連携・・・空気がいきいきと動いて、今後とも施設が活用されますように。

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by trmt-ken | 2018-05-23 18:45 | 建築 | Comments(0)