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突然のピンチに出会う本
夕食後、気を取り直して細かい図面に向った。突然、画面がふわっと揺れ、同時に吐き気に襲われた。
これはやばいぞと思い、這うようにしてくまさんを呼び、居間に床をのべてもらう。

屋根裏のはしごをのぼった寝床では夜中どうもならない。少ししたら落ち着いてきて、救急車などという緊急事態は避けられた。
・・・いつもと違う場所で転がっていて、脇に積み上げてある本を手に取る。それがおおあたり!
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薄くてわら半紙のような質素な冊子だが、すごい内容であった。谷川俊太郎と大岡信の対談集。「森口蔵書」の印。エッソの広報紙、昭和53年収録。

谷川俊太郎の、父徹三経由の直観…ほとんど本能的に好き嫌いがみえてしまう性癖。志賀直哉や柳宗悦に繋がる「道」のような。それはフェルメールにもおよぶ。
美術の世界につながると詩の世界に疎いものにも少し近しい気がする。
対談と相互に批評をしあうという形式で、詩作を志す人には宝の山。本能に基本を置く者と周囲との関係性から切り込んでいく立ち位置との差が見えて来る。
・・・ここまで来て、まあまあ脳みそは機能しているぞとひと安心する。

病気と読書は私の場合切っても切れない関係がある。
手術の後のだんだん痛みが出てくるときに読んだサガン。熱のあとの武満徹、気がめいった時の漱石。何かに集中することによって痛みを散じているような。痛み止めや眠り薬に使いつぶしてごめんなさい。我が家では、お釈迦様も弘法大師も聖ベネディクトも散々で。(礼)


【読書日記】

2022.1212またまた猫

2022.1117芋と猫

2022.0811中井久夫という叡知

2022.0611短詩の饗宴-大岡信によせて

2021.1114茶の本-岡倉覚三-

2021.0829眠れぬ夜に読むお経

2021.0721現代日本の詩歌-吉本隆明-**

2021.0715鶴見和子-日本を開く-(南方・柳田・大江)

2021.0621「里」という思想-内山節-

2021.0613精神科医の自己診断-中井久夫-

2021.0610小沼丹の落とし物

2021.0502日本文学史早わかり-丸谷才一

2021.0501内田百閒の私と漱石龍之介

2021.0331イシグロの世界*

2021.0307パンデミックの物語

2021.0204和するという流儀*

2020.1217北越雪譜-鈴木牧之―

2020.1203杉本家の土蔵-文学の紋帖

2020.1111「単一民族神話の起源」小熊英二を読む

2020.1016言葉の深淵へー古井由吉―

2020.0906招魂祭という装置

2020.0816洪水と水害をとらえなおすー大熊孝―

2019.1215風を聴く-賢治によせて

2019.1110内山節と読む50の古典

2019.0815八詩仙の飲みっぷり**

2019.0604池澤夏樹の語感覚

2019.0629エコラリアス-忘れるというメカニズム

2019.0625素直に敗北宣言⁻松浦寿輝-

2019.0622誰に向けて書こうか

2019.0203犀の角のように、一人歩め

2019.0103東京の地霊(ゲニウス・ロキ)-鈴木博之を読む

2018.1216サリンジャー「The Catcher in the Rye**

2018.1209美と宗教の発見-梅原猛-

2018.1208「黒い雨」再読

2018.1013書評の放つ光「水の匂いがするようだ」

2018.0521自分勝手な保険をかける*

2018.0211ジャン・コクトーのこと**

2018.0203「吉本隆明1968」鹿島茂-重なりにみえてくるもの*

2018.0124すぐに眠くなるおまじない「聖ベネディクトの戒律」

2017.1121文字に刻む音-蘇東坡によせて*

2017.0718息(いぎ)をするように*

2017.0203猫いよいよ佳境に入る

2016.0716裏返された座布団-catside down-**

2016.0616.猫その後

2016.0326たどたどしい言葉で「ライムギ畑でつかまえて」*

2016.0305「ある家族の会話」-ナタリア・ギンスブルグを読む*

2016.0221高村薫「空海」を読む

2015.1109干し柿のすだれ

2015.1106二人の敬愛する先達

2015.0427本好きの本棚

2012.0401吉本隆明を悼む



by trmt-ken | 2023-02-28 18:29 | 読書日記 | Comments(0)
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