イッセイ・ミヤケと同じ日に中井久夫氏の逝去が報じられた。
精神科医で、随筆の名手。須賀敦子さんや神谷美恵子さんに触れる機会から引かれるようになった。 ピアジェ・ユング・土居健郎・木村敏などが並ぶ父の本棚に囲まれて寝起きしていた頃、そういう分野に進むことも夢みないではなかった。が、同時に惧れとためらいがあった。文学にも通じるけれど、生身の一番敏感な部分を職業とすることへの惧れ。それだけ、精神科医に対する親和性と尊敬をずっと持っている。 中井久夫さんは、造本にこだわられた。そしてカリグラフにも。様々な趣味やこだわりが、困難な仕事を支えていたのではないだろうか。 朝日新聞天声人語によると「自転車に乗れず逆上がりが出来なかった少年」だった由。さらに親近感を覚えた。心の病と信仰・宗教(そして政治まで)を広く見渡すことが必要な時代に賢者を失ったと思う。(礼) 【読書日記】 2022.0611短詩の饗宴-大岡信によせて 2021.1114茶の本-岡倉覚三- 2021.0829眠れぬ夜に読むお経 2021.0721現代日本の詩歌-吉本隆明- 2021.0715鶴見和子-日本を開く-(南方・柳田・大江) 2021.0621「里」という思想-内山節- 2021.0613精神科医の自己診断-中井久夫- 2021.0610小沼丹の落とし物 2021.0502日本文学史早わかり-丸谷才一 2021.0501内田百閒の私と漱石龍之介 2021.0331イシグロの世界 2021.0307パンデミックの物語 2021.0204和するという流儀 2020.1217北越雪譜-鈴木牧之― 2020.1203杉本家の土蔵-文学の紋帖 2020.1111「単一民族神話の起源」小熊英二を読む 2020.1016言葉の深淵へー古井由吉― 2020.0906招魂祭という装置 2020.0816洪水と水害をとらえなおすー大熊孝― 2019.1215風を聴く-賢治によせて 2019.1110内山節と読む50の古典 2019.0815八詩仙の飲みっぷり** 2019.0604池澤夏樹の語感覚 2019.0629エコラリアス-忘れるというメカニズム 2019.0625素直に敗北宣言⁻松浦寿輝- 2019.0622誰に向けて書こうか 2019.0203犀の角のように、一人歩め* 2019.0103東京の地霊(ゲニウス・ロキ)-鈴木博之を読む 2018.1216サリンジャー「The Catcher in the Rye」** 2018.1209美と宗教の発見-梅原猛- 2018.1208「黒い雨」再読 2018.1013書評の放つ光「水の匂いがするようだ」 2018.0521自分勝手な保険をかける* 2018.0211ジャン・コクトーのこと 2018.0203「吉本隆明1968」鹿島茂-重なりにみえてくるもの* 2018.0124すぐに眠くなるおまじない「聖ベネディクトの戒律」 2017.1121文字に刻む音-蘇東坡によせて* 2017.0718息(いぎ)をするように* 2017.0203猫いよいよ佳境に入る 2016.0716裏返された座布団-catside down-** 2016.0616.猫その後 2016.0326たどたどしい言葉で「ライムギ畑でつかまえて」* 2016.0305「ある家族の会話」-ナタリア・ギンスブルグを読む* 2016.0221高村薫「空海」を読む 2015.1109干し柿のすだれ 2015.1106二人の敬愛する先達 2015.0427本好きの本棚 2012.0401吉本隆明を悼む
by trmt-ken
| 2022-08-11 11:50
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