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カタログから選ぶ人生
住宅機器メーカーさんには申し訳ないが、仕事のなかで日に日に味気なくなっていくのが、キッチンと浴室。
ほとんどカタログから選ぶしか選択肢がない。ステンレスシンクと家具で一から作った時にはえらい目にあった。
水が漏れないか、ゴキブリが入らないか、掃除しやすいか・・・そういう勝負では出来合にかなわない。工務店も、後の苦情がないのがいいに決まっている。

かくて、車のオプションを選ぶようにキッチンの装備を決め、浴室の柄を決め・・・そして虚しさがつのる。
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体を洗う、水につかるという行為が思いがけない飛躍をすることがある。
たとえば、ローマ時代の浴室が、初期キリスト教の洗礼堂に変貌したとき。
海水浴の海が、潔斎の海になった時。

建築の要素がただの道具を越えた時のことを想う。
言葉がただ情報を流していくことにあらがう時のことを想う。
物としての存在、言葉としての強靭さにこだわりたい。


2019.0727水風呂から浮かび上がる言葉

2016.0323どのような空間で人は物を考えるか


by trmt-ken | 2020-12-23 20:56 | 折々に・・・ | Comments(0)
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