シャイヨー校(パリの古建築研究所)のこと-1〈友人たち〉 パリ留学の最初の2年間在籍した、シャイヨー校について、思い出すままに。
ビニョリ・サンテチエンヌ教会周辺再開発計画 のっぽのセルジュ:ユーゴ国籍の大男。適切な靴がなくて、どでかいスニーカーに穴がありいつも親指が飛び出していた。街並み保存の課題にも、町の全部を作り替える提案をして落第点をもらっていた。私と並ぶとほんとに凸凹コンビ。
ギリシャのカチビニス:本国での保存建築家としてのキャリアがあり、休講の時には代わって講演した。ときどきため息をついて「ああ青空が見たい」とどんよりとした冬のパリの空を嘆く。
黒衣の貴公子:いつも全身黒づくめ。ある時タートルネックのセーターを一枚脱いだら、その下も同じ黒のセーターであった。その後の私の手本。
イタリアのマダム:3人の幼児を持ちながら学び続ける物静かな人。
ヴェルサイユのマダム:髪も服も靴も物腰もエレガントな方。いつも感嘆していて、素敵ですねと言ったら、『わたくしの年齢では・・』とちょっぴり恥ずかしそうに言われた。そう、少し歳をとったらあんなふうに素敵になって、そして『わたくしの年齢では…』というんだ!と決心した日。もうとっくに過ぎているけど。
年齢も国籍も様々な同級生。課題の目鼻もつかず悶々としていた時にふらっと遊びに来て、ああそんなの、係数を掛ければいいんだよとさらっと教えてくれたり。歳をとること、古い建築の美しさに浸った時間。建築だけでなく、生き方も学ぶ。 一昨年は、同窓であり、同僚であったラパン氏が夫人同伴で松江に見えた。シャイヨー校出身だというと、外国人がたちまち同胞に代わるお国柄。古い建築を学び、新しい建築を作る。なぜ、こうした学校が日本にないのだろうか。 (礼)
by trmt-ken
| 2016-09-03 23:25
| chaillot
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by 寺本建築・都市研究所 タグ
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