魔法のことば ―フロワドヴォー先生
知人がフランスのル・ピュイ=アン=ヴレ(以下、ル・ピュイ)へ行くとのこと、旅行好きの虫がうずうずしてきます。地母神・ヴィーナス・聖母信仰の地であり、巡礼の起点として聖地であったル・ピュイは、文化のるつぼでした。
f0202518_1505885.jpg
(上)ル・ピュイのノートルダム大聖堂(ノートルダム・デュ・ピュイ大聖堂)
f0202518_151188.jpg
(上)イスラムの影響も強い回廊。
f0202518_1515263.jpg
(上)回廊には、シュメール、エジプト起源の柱頭彫刻があり、イスラムの影響も強く、中世という時代の多様性と豊かさに圧倒されます。

ル・ピュイのノートルダム大聖堂は、パリのノートルダム大聖堂モン・サン=ミシェルとともに、恩師・フロワドヴォー(M. Yves-Marie Froidevaux)先生の手により修復、修景されました。土地は起伏に富み、様々な石に舗装され、街をさまようだけで飽きることがありません。またフロワドヴォー先生の手にかかるとそうした名建築はもちろんですが、小さな教会も、石がざわめいているような、壁が生きて呼吸しているような特別な感じがします。学者・学生・職人さんなど誰からも敬愛された方でした。
そして、滞仏中に歴史的建造物に関わる様々な場所で助けられた魔法の言葉があります。「お控えなすって。私、シャイヨー校に籍を置き、フロワドヴォー先生に学びました。」これで、一瞬にして異邦人が義兄弟に変貌するのでした。
20年後、ル・ピュイに家族旅行したとき、連れがどうしても土地利用図を手に入れたいと言い出しました。しぶしぶ市役所に出向き、忘れかけたフランス語をしぼりだし、「お控えなすって…」とあいなりました。先生が亡くなって久しく、しかしながら「魔法のことば」はまだ生き続けていて、山のような資料を頂いて帰ったのでした。

(礼)


[PR]
by trmt-ken | 2010-11-21 22:20 | chaillot | Comments(0)
<< 再び「建築家 白井晟一 精神と... 大山の緑のなかで >>