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あ、また見覚えのある坂道が
新刊紹介の欄、あ、と思った。代官山の私の家。(今はもうない。)
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植田実「集合住宅30講」の表紙。苔むした崖の上の建物の3階の端に住んでいた。この階段には銀杏と桜の巨木が覆うように立っていて、花も咲いたが黒い毛虫も盛大に降ってきた。その時期になると外に出る時には雨が降らなくても傘を差し、あるいは遠回りして渡り廊下伝いに別の出口から出た。銀杏も降ったが、茶わん蒸しに入れようと拾った祖母はかぶれてひどい目にあった。手ぬぐいで頬かむりして病院に通った。
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階段の上から。7.5.3のお宮参り。祖父母と母と一緒に近くの氷川神社までお参りした。坂を下って、山手線を超えて、また坂を上るとお宮があった。東京も結構起伏がある。 この着物は娘の3歳の祝いの時にまた復活した。
今は清光院下に住み、清光院の階段と愛宕さんの階段とをめでて暮らしている。いくつになっても坂道が好きで、階段が好きで。苔むしているともっと好きで。毛虫は嫌いだけど。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-02-26 18:13 | 折々に・・・ | Comments(0)
高村薫「空海」を読む
宗教にかかわる事件が世界をゆるがす今、空海という存在に切り込むという試みに刺激されて、高村薫の「空海」を読んだ。全体像をとらえるという入門としてはわかるが、未消化部分も残った。というのも、字は人格を現すと言われ、これほど書が残されているのに、この一級資料の書への言及がほとんどみられないことである。
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唐にようやっとたどり着いたとき、しばらく一行が捨て置かれ、空海の上申書によりようやく都へ上京許可が降りたというエピソード…空海の文面を見て、中国の役人が目をむかぬはずがないと私は思う。字がまずくても立派な人はいるかもしれない。だが逆はありえない。教養・才能あふれかえっている圧倒的な力を空海の書は持っている。

かって少し書を学んだ時、一字につき先人の12種類の字を集める課題が出た。日本人の中で空海の文字は抜きんでていて、目が吸い寄せられた。文字の中に呼吸があり、一緒に息をし、動いている感じがした。密教とこの感覚はどうつながっているのかを切に知りたい。若き日の空海は室戸で明星が体内に入ってくる体験をしたという・・そこにつながるのだろうか。

もう一点。自署はどんなだっただろうと、探してみた。多くの「海」は「毎に水」と書かれ、他の文字に比べてひかえめで、恥ずかしげに見える。かほど文字はいろいろなことを想起させる。揮毫するには勇気がいる。高村薫の愛読者としてあえて苦言を申します。「続」が待たれます。
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風信帖「書道芸術:中央公論社第12巻より」-中央部分に小さめに空毎水とある。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-02-21 22:17 | 折々に・・・ | Comments(0)
川口淳平鞄展【ご案内】
川口淳平鞄展【ご案内】
Mokodiにて:愛知県名古屋市名東区西山本通1-8-1
2016年3月4日(金)~13日(日)

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吾輩 と仲間たち
須賀敦子さんによれば、ナタリア・ギンスブルグの飼い猫は「ココロ」という名前だとか。漱石の愛読者であった縁者より引き継いだとの由。川口さんの籠バッグが「吾輩」でもよいかなという気がしてきた。なぜか分からないけど。
ギンスブルグ自身、プルースト好きの母を持ち、ユダヤ系医師の父を持ち、プルーストを訳し、源氏物語を愛読し…さまざまな人間模様の中から言葉を紡いだ。そうして文学の空気にひたって巨大になったココロは、2回目の須賀さんの訪問時にはさらに大きくなっていたとか。目に見えるような猫の姿。

願わくは、須賀さんの澄み切った、香り高い文章に少しでも近寄りたいものだ。
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吾輩アップ
私は基本的に動物が嫌いで、動物にも好かれないという確信があった。人間にもというおまけまであって、かなりひねくれているのだけれど、ミントさんの猫はその確信を揺るがすほど無防備で、人間を信頼しているのが分かる。これは猫語を解する川口さんの徳に帰すると思う。
川口さんにかかると、寺本も「でかいぐうたら猫」に変身するのがおかしい。
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ぬいぐるみとにらみ合いの図:後ろのミシンまで仲間のようで
礼子作のロゴが、皮部分に刻印されるとか。胸を張って見に行こうかな。でも川口さんのことだから、見えにくいところにごく小さく押されているんだろうな。
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ケリーバッグ:どこかひそやかで、端正で。それが淳平流のココロ。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-02-18 18:29 | mint | Comments(0)
海の向こうで- 米田由美子さんの仕事-
海の向こうで、松江出身の女性が活躍されています。米田由美子さんより展覧会の御案内。
場所:Soestdijk Palace (オランダ:旧王室宮殿)
会期:2016.02.19~05.08

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米田さんの作品は清光院下ギャラリーにおける「ひびきあうもの展」やDoorさんでの展示をしていただいています。単体・複数ともに、壁に置かれることで空間が揺らぎ、光が転がり始めます。重力波のニュースが世界を駆け巡ったとき、まずイメージしたのが、米田さんの彫刻でした。ものが置かれると周囲に波動が生じます。
物理の世界でなく美の世界では自明のことではないか。「でなく」、ではなく「でも」というべきか。

背景が曲面であったり、白かったりグレーであったり上部から光がやってきたり、そして、本体がくぼんでいたりふくらんでいたり。本影・反映・陰影・・いずれが確かということもなく。影と遊んで。
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Door さんにて2015.11月
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清光院下ギャラリーにて2012.11月
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ギリシャ:レフカダ島:ラフカディオハーンとその母-米田由美子作品集より-
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記憶の中の触覚とあそぶ -米田由美子作品集より-
(礼)


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Here with I would like to draw your attention to the exhibition ‘Sculpture Park Soestdijk Palace 2016’.

I was invited by curator Werner van den Belt to participate in the exhibition.

Location: Soestdijk Palace (a former palace of the Dutch Royal Family), Baarn, Netherlands

The exhibition will run from 19 February until 8 May 2016.
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by trmt-ken | 2016-02-16 18:06 | 折々に・・・ | Comments(0)
DOOR さんをご存じですね
本日2月6日の山陰中央新報にDOOR さんの記事が載っていました。
DOOR BookStoreさんは、店主の高橋香苗さんの人柄がにじみ出て、いつもほっと気持ちの和らぐお店です。
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本を買っても買わなくても、ちょっと気持ちが下向いているときでも、伺うとふと背を押されるのを感じます。共感・共鳴というのか、言葉にしにくい感覚ですが。そして新しいことが自分の「内部」に芽生えるのを感じるのです。ものつくりの方がひっそり座っているのも、話をしておられるのも、何か内に向かっているように思えます。

何度かの改装を経て、空間が住まい手とともに成長し、調度・展示品と対話をしているのもうれしいことです。効率的ではないところに原動力をもつ「生き方」を示してくださっているようです。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-02-06 11:50 | 折々に・・・ | Comments(0)