<   2014年 10月 ( 7 )   > この月の画像一覧
庭園から街並みへ―スペイン便りその4
中庭から庭園までは一歩。そして庭園から街並みへも、もう一歩。
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アルハンブラ・パルタル庭園
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アルハンブラ・城郭内緑の壁
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庭園内緑の東屋


マドリッドの駅からプラド美術館への大通りは中央に緑道があり、また植物園があり時々コロンコロンと栗が落ちてくるほど緑が豊かであった。
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グラナダの駅前通りはさらに中央の緑道が広く、水盤まであり、公園のようなつくりで旧市街まで約2km気持ちよく歩いた。これは庭園の変形の一つで、前奏曲のようだと帰りに思う。イスラム庭園の作庭作法の一つに長手方向の視線の重視がある。水路も生垣も。すぐに街路に応用できる。


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グラナダのカテドラル前広場ではパフォーマンスに人垣ができ、横道にはスパイスの露店が異国の香を漂わせている。
連続する小広場は中央に銅像と水盤、周辺にはカフェが立ち並んでいる。食べ物はおいしい。量が多い。一方、ユダヤ人街は迷路のような坂道の路地が続き、時々小広場が現れ、私的な庭園が垣間見える。


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グラナダの街路:アルバイシン地区・宮殿の窓から見えていた白壁と糸杉の地区。
狭い登り道をおもちゃのような連結バスが走る。開けた広場からは宮殿に相い対する。お互いに見、また見られる街。


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トレドの街路:グレコ没後400年を記念し、町の各所にポスターが見られた。

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中庭を見てゆっくりしたいということだけで、不勉強なまま飛び出したスペイン小旅行。何もかもごちそう様の旅でした。
(礼)

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by trmt-ken | 2014-10-29 16:10 | 折々に・・・ | Comments(0)
イスラム・キリスト・ユダヤ教の間に―スペイン便り その3
イスラム教・キリスト教・ユダヤ教文化の混合について
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トレド:サンタ・マリア・ラ・ブランカ教会(ユダヤ教会からキリスト教会に)

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ユダヤ人街にあり、5廊式の馬蹄形アーチの壁の上に木架構を載せている。ボールト天井でないため、列柱は開放的。

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正面:木架構が現れている

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床にはユダヤの星


イスラム文化の華を残して無血開城したアルハンブラ(Alhambra)だけでなく、スペイン全土があるときはイスラム統治下に、ある時はキリスト教統治下に置かれた。しかし住民すべてがその都度入れ替わるわけではなく、異教徒として他文化を受容し、変容してきた。モサラべ様式(イスラム統治下のキリスト教文化)、ムデハル様式(キリスト教統治下のムスリムによる文化)があり、またユダヤ教も併存していた。

南仏のロマネスク教会にイスラム文化の影響が濃いことは知っていたが、スペインではほとんど体幹をなすほどに融合し、混合自身が文化と感じられる。

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トレド:サン・ファン・デ・ロス・レイエス教会(ゴシックとムデハル様式の混合様式)

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修道院回廊1階はゴシックのリブヴォールトが庭園を巡り、2階の回廊は混合様式。

12・13世紀にトレド翻訳学派と呼ばれる学者が活躍。
イスラム・ユダヤ・キリスト教徒との共同作業により古代ギリシャ・ローマの文献がアラビア語からラテン語に翻訳されたという。(ルネッサンスを準備した大翻訳時代)
「イスラム国」関連ニュースが飛び交う中、異質文化の共存した古都トレドを歩いた。
(礼)

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by trmt-ken | 2014-10-26 18:30 | 折々に・・・ | Comments(0)
窓の内と外―スペイン便り その2
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ヘネラリーフェ望楼よりアルバイシン地区を望む。
糸杉と白い街路の街並み。

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ナスル朝王宮より見る。
アルバイシン地区・窓の透かし模様と壁の装飾の中に広がる街並み。

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コマレス宮の窓・格子と光の透かし模様・タイルの反映。

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姉妹の間より、リンダラハの中庭を見る。
装飾の効果で壁は軽やかに浮遊感がある。

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ライオンの中庭を見る。
柱間が透け、アーチがレース状に透けている。
外観は重量感がある城砦で内部に入ると一転して精緻な軽やかさが展開する。
(礼)

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by trmt-ken | 2014-10-23 17:20 | 折々に・・・ | Comments(0)
中庭―石と水と緑が出会うところ スペイン便りその1
スペインへの小旅行をしました。グラナダの山の上の「赤い砦」アルハンブラは、幾重にも巡る壁に守られた天上の楽園でした。庭園・多数の中庭を囲む宮殿・浴場・離宮の他ホテルや劇場まであります。

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城壁

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様々な切り口がありますが、まずは中庭(patio)について。
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カルロス5世宮
円形の中庭

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ナスル朝黄金の間中庭
低い水盤

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コマレス宮アラヤネスの中庭
広い水面に建物が映る

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ライオンの中庭
ほっそりした列柱とライオンに支えられた水盤

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グリルの中庭
城壁沿いの風景も見ながら中庭を見下ろす

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リンダラハの中庭
糸杉と回廊の柱が呼応する

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ヘネラリーフェ・アセキアの中庭
離宮の細長い水路と噴水

アルハンブラのみで丸一日はかかります。中庭だけでなく立体的に庭園が連続し、水が連続し、壁のような緑、樹木のような柱など境目が混然としてくる。中庭(patio)と庭園(jardins)の差も少し開放的かどうかの違いで、歩き回るうちに夢見心地になる。西欧に奇跡的に残されたイスラム文化の華です。
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by trmt-ken | 2014-10-21 15:05 | 折々に・・・ | Comments(0)
現代建築の現在―8
新国立競技場問題と土なモダニズム

 2013年8月の日本建築家協会機関誌に発表された、「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」という槇文彦さんの論考をきっかけに、「新国立競技場問題」が各方面で大きな話題となっています。2020年の東京オリンピックのために国立競技場の建て替え計画が進行中ですが、「神宮外苑の歴史性から考えると、こんな巨大で乱暴な施設が建設されてはならない、根本的に考え直す必要がある」という論考です。
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新国立競技場のコンペ案

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実現に向けて改変された基本設計案
              

この1年余りの間、さまざまな分野で多くの議論が行なわれました。
以下の課題が指摘されています。

① 施設規模と景観
 明治神宮外苑は風致地区に指定されており、建物の高さや建蔽率が制限されてきたが、そうした歴史的経緯を無視した施設規模である。コンペでは、鳥瞰図主体で審査が行われ、周辺との調和や周りからの見え方などが考慮されていない。
 歩行者の目線からは、見通しのきかない「巨大な沈黙の施設」であり、1年のうち300日間は使用されない。人通りの少ない夜間は犯罪すら懸念される場所になる。また、周辺の森は工事でほとんどが伐採される。
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現在の国立競技場
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新宮外苑の銀杏並木

② 建設費と維持費
 建設費はコンペの条件より大幅に増加しそうであるが、それ以上に問題なのは維持管理費である。建て替え前の国立競技場では年間5億~7億円程度だが、建て替え後は大幅に増えると懸念される。恒久的に8万人収容にする計画だが、オリンピック後に8万人分の客席を満員にできるイベントは少ないのではないか。維持管理費を考えれば、オリンピックの時だけ仮設席を建設して8万人収容とし、その後は仮設席を撤去して収容人数を縮小するべきではないか。
③ 施設の基本的機能
 観客席に屋根を架けたうえに、競技場部分にも開閉式屋根が計画されている。しかし下図に示されているように、競技場に部分的に陽が射したり陰になったりするのでとてもつかいにくい。陸上競技だけでなく、サッカーでも使いにくいし見づらい。選手にとって見づらいだけでなく、観客にとっても非常に見づらく、サッカー場としては欠陥建築ではないのか。
開閉式屋根(遮音装置)は膜構造にする予定だが、曲線を多用した屋根構造であるため制約条件が多く、火災発生時の安全性や遮音性能にも課題が多い。
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多くの矛盾を抱える開閉屋根

④ 無用な可動屋根
 可動屋根を中止し、観客席のみに屋根を架ける施設にすれば、上記の景観・建設費・維持費・基本的性能などに対する懸念や課題はすべて解消できるのではないか。(無蓋案)
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観客席のみに屋根を架ける提案


 主に東京で議論されている問題に対して、『遠く離れた島根からは、心配しながらも眺めているしかない』と考えていましたが、私達にも無関係ではないと思い直し、土なモダニズム(論)との関連性について述べてみることにしました。
 これまでの議論では、コンペ案のデザイン性については慎重に回避されてきました。「神宮外苑の歴史性・場所性と施設規模のミスマッチ」が最大の問題である・・・という主論点を明確にする必要があったからです。デザイン性についてまで議論すると意見が拡散し、事の本質が見えなくなりそうだ・・・という懸念からですが、本稿では「近未来的なデザインであり、日本を元気にし、世界に強いメッセージを発信する」と審査委員会で評価されたザハ・ハディッド案のデザイン性について吟味します。

■地域性・場所性について
 ザハ案に対する多くの人の第一印象は、図のような自転車用ヘルメットですが、ザハの他の建築もこのようなインダストリアルデザイン系の外観に特徴があります。ヘルメットやインク瓶、ステンレスの金属オブジェなどのように、「流線型でのっぺりしていてスケール感に乏しい」という特徴があります。このことが「近未来的印象」を醸し出します。本来は小さなものを、敷地の大きさを見ながら適宜拡大した・・・かのようなデザイン性で、場所性への配慮はもともと稀薄なのです。神宮外苑に置くのであれば、周辺に十分な余白をとり、例えば広大な芝生のマウンドの上に、「小さく、可愛く、そっと置いてある・・・」というくらいのスケールが適切であったと思います。小さければさほど問題はなかったのですが、大きすぎる上にこの様なデザインということでは・・・という意見が多くなってしまいました。
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自転車用のヘルメット

■身体性について
 「流線型でのっぺりしていてスケール感に乏しい」という外観のデザイン性は、「身体性=スケール感」から離れていますが、内部空間も「身体性=心地よさ」から離れた「離土性」のデザインです。
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ザハ設計のオブジェのような建築

開閉屋根を持つ内部パースの第一印象は屋根のうっとうしさです。このような巨大な屋根のかかった競技場は「すがすがしい開放感」とはなりません。また輝度対比が激しく、観客にも選手にも使いにくく見づらいのは前述のとおりです。

■TOKYOという都市イメージ
 東京の都心地図を眺めると、JR中央本線に沿って、皇居・赤坂御用地・明治神宮外苑・新宿御苑・明治神宮と豊かな緑地が連なっていることがわかります。この緑地群と周辺地区には、江戸城開府から明治を経て、関東大震災と第2次世界大戦という街全体を焼け野原にする災害を経験した「東京の歴史」が深く刻まれています。
この緑地に大きく手を加えるということは、「TOKYOという都市イメージ」の変更を意味します。パリのエッフェル塔やポンピドーセンターの例などを持ち出すまでもなく、「TOKYOを代表するランドマークの役割としてふさわしいかどうか」また、「その役割を何が果たすべきか」というテーマが顕在化しました。
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神宮外苑の再開発計画案

50年前の代々木競技場は、当時のモダニズム建築のレベルを表現している傑作ですが、巨大な可動屋根や巨大な空調設備などの巨大技術を利用し、巨額の維持費を必要とする新国立競技場は、成熟社会日本と成熟都市TOKYOを象徴する価値観を未来に向けて表現する建築とは、到底成り得ないように思います。           (和)
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by trmt-ken | 2014-10-14 17:05 | 現代建築の現在 | Comments(0)
【ご案内】今週末のイベント
今週末の清光院下のギャラリーのイベントです。

10月12日にmama!milkのお二人によるライブが開催されます。皆様のお越しをお待ちしております。
松江の月照寺、清光院の杜のふもと、風情あふれる一角にあるギャラリーで、今年もmama!milkのコンサートを行ないます。アコーディオンとコントラバス、二人が奏でる音楽は、どこか遠い異国へと旅情を誘います。見知らぬ風景が遠い記憶と重なって、物語のように浮かんでくる。二つの音の重なりは、文字通り「対話劇」となって聴く人の心に刻まれることでしょう。深まりゆく秋の気配とともに香り高いmama!milkの音楽をご堪能下さい。
book & gallery DOOR 高橋 香苗


  • 出演:mama!milk
  • 日時:2014年10月12日(日)
  • 開場:16:00/開演:17:00
  • 会場:清光院下のギャラリー
  • 住所:島根県松江市外中原町198-1
  • 料金:3,300円(要ご予約)
  • 主催:book & gallery DOOR

  • ご来場の皆様にei-cafeのフランス菓子と、Simon Leveltのオーガニック紅茶をご用意しております。

    ご予約
  • book & gallery DOOR店頭にてお申込みください。
  • 住所:島根県松江市上乃木1-22-22
  • 電話:090-8713-0852(担当:高橋)

    E-mailによるご予約・お問い合せ
    下記アドレスまで必要事項を明記の上、お申し込みください。

  • doorst.2134@gmail.com

    1. 件名:10月12日 mama!milk
    2. お名前(代表者のフルネームをカタカナ表記をそえて)
    3. お電話番号
    4. ご予約人数、またはお問い合せ内容。
    5. ご予約申し込みメール受信後、数日以内に受付確認のメールをお送り致します。
      メール受信設定などでドメイン指定をされている方は、ご確認をお願い致します。
      お席に限りがございますので、お早めのご予約、お申し込みをお薦めいたします。

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by trmt-ken | 2014-10-08 18:20 | コンサート・催し | Comments(0)
【ご案内】演劇「一年目の火曜日」
11月に短編演劇とライブの二本立てイベントが開催されます。
皆様のお越しをお待ちしております。
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演劇「一年目の火曜日」・影山さゆりによるライブ
  • 日時:2014年11月1日(土)
  • 会場:清光院下のギャラリー
  • 開演:昼:14:00〜(開場:13:30)
       夜:19:00〜(開場:18:30)
  • 料金:¥2,000

  • 託児サービス有り(昼公演のみ)
    • ご希望の方は10月17日(金)までにご予約ください。
    • 定員に達し次第受付を終了します。

  • チケット・託児のご予約・問い合わせ先
    • 電話:090-7546-7063(担当:三浦)
    • メール:sakasama.source@gmail.com

  • 主催・企画:サカサマソース

  • 短編演劇「一年目の火曜日」
    • 出演:三浦 美緒、影山 さゆり
    • 脚本・音楽:影山 さゆり
    • 演出:西 菜々重
    • 作品紹介:『私たちはどれだけ過ごせば上手く人と付き合っていけるだろう。』30代の女性2人は電話を介して自分だけの答えを探してゆく。続けば続くだけ。

  • ライブ
    • 出演:影山 さゆり

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by trmt-ken | 2014-10-03 00:00 | コンサート・催し | Comments(0)