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自然に罪はあるのか

永い時間が経ったような気がする。禍々しい映像を見て以来、こんなに離れているのに乗り物酔いのようなめまいが続いている。

2011年3月27日、藤森照信「建築とはなにか」の書評の最後に添えられた平松洋子氏の言葉。
建築史家として過去に向かい、建築家として未知に向かう。…体内にはきっと、あちこちの古い大地の記憶が養われているに違いない。であるならば、私も問いたい衝動を抑えられない。一瞬にして生命も日常も町も建物も破壊した東北のすさまじい惨禍を、日本の建築は、建築家は、どのように受け止め、どう乗り越えていくのだろうか、と。

問われているのは、既に、技術のレベルではないような気がする。そして建築や、都市計画だけでもない。我々は何をしてきたのか。我々の努力してきたことはなんだったのか。我々は何処へむかうのか。…自然に罪はあるのだろうか。
(礼)
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by trmt-ken | 2011-03-29 21:40 | 折々に・・・ | Comments(0)
石が浮遊するとき ―La Sainte Chapelle
パリに旅行する友人へ伝えたいこと。

ゴシック建築はフランスで華開いた建築様式です。中でもシテ島のノートルダムの直ぐ近く、裁判所の中庭にあるサント・シャペル(Sainte Chapelle)は傑作と思います。13世紀中葉、城に接続する礼拝堂として建てられました。

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By Thomas Shotter Boys (England, London, 1803-1874)
Wikimedia Commonsより

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細い廻り階段を上がりきると王室用の上階に出ます。殉教の茨の冠を聖遺物として納めていたという建物は王冠のようなイメージをもち、石は重力をなくして浮遊するかのようです。似た規模と形式を持つ礼拝堂はヴァンセンヌサン=ジェルマン=アン=レーランスなどにもありますが、サント・シャぺルの特別な感じはこの強い象徴性によるかもしれません。
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夕べにはこの宝石のような空間で音楽会が開かれることがあります。夏は10時頃まで夕暮れが続き、ステンドグラスの色の変化を堪能する体験です。私はモーツアルトの五重奏を聞きましたが、音はあれ?という感じでした。前後の音が重なって混乱しているように思いました。きっと空間によって合う速度や編成が異なるかもしれません。
よい旅になりますように。
(礼)

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by trmt-ken | 2011-03-10 00:00 | 折々に・・・ | Comments(0)
天に開いた空間 ―ノートルダム・デュ・ピュイの中庭について

ノートルダム・ドュ・ピュイのカテドラルの中庭は、登って昇って、少し降りて、又昇った先にあります。山の上のカテドラルの貴重なスペースに、天に開いた静かな空間が抱えられています。

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カテドラルの中ほどから階段で昇っていくと、このグリルを通って中庭に出ます。中世の、手打ちの鉄のグリル。
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回廊には様々な時代と様式の柱頭が見られます。初期中世の柱頭は鳩に囲まれたシャルルマニュ。
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別のところには、ケンタウロス。
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ノートルダム・ドュ・ピュイは様々な時代と文化が融合していて、限りなく魅力的です。

釣り人の泊まる安宿に逗留し、回廊のあちらこちらをスケッチして何日も過ごしました。ガイドのおじさんに「もうみんな覚えただろうからガイドを代わってくれよ」とからかわれました。
(礼)

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by trmt-ken | 2011-03-05 00:20 | 折々に・・・ | Comments(0)