カテゴリ:建築( 100 )
旅日記-日没-
曇りがちのパリから、地中海に向かう。南仏のアルルはまぶしくて、いつもの服がくすんで感じられた。北仏で多くの教会堂が東西に長い身廊を持ち、一方イタリアなど南に行くと方角よりも広場の位置や地形が優先していることがある。緯度の違い・太陽高度の差が大きいのではないかと思う。日差しについても取り入れるか、遮るか。
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ステンドグラス:「日没」:P.Prunet

セーヌ川河岸の喫茶店にいて、夕刻、ふと聖堂の中にいるようだと感じた。川が東西に伸び、夕暮れの光がかなたから差していた。教会堂で、西のバラ窓の光が内陣まで届く体験に似て。
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ステンドグラス:「夜明け」:P.Prunet

宍道湖の夕日がめでられるのも、宍道湖が東西に長く、日の出と日没が神々しいからではないだろうか。大橋川もまた。この得難い風景を大事にしたい。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-09-23 20:16 | 建築 | Comments(0)
地形をつくる

階段が好き、坂道が好き。自宅中庭に子供さんが見えると、やっと歩ける年齢でも、階段を登りたがる。本能的に上るのはワクワクすること。親の顔をちらっと伺い、何か言われないかと気にするのも、いつもと違う冒険にでかける気分。

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(中庭・そうめん流し)

目線が少し高いと床のパターンがよく見える。低いと天井が見える。たくさん上がると違う世界が開ける。レベルの違うところに立つと演じ始める。見る、見られる関係が発生する。

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(グラナダ広場)

ものを作る人は、立体的空間で育てたい。上からも下からも横からも見ること、感じること。景色と空間の連続。空間とものの連続。

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(礼)


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by trmt-ken | 2016-08-25 09:00 | 建築 | Comments(0)
気候をつくる


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炎天下に外から帰って家に入るとほっとする。古びて掃除が行き届かなくても、自慢できるのが涼しいこと。ブロック2重積みで、さらに緑に覆われているため、どんなに暑い日でも29度まで。車では降りた時に眼鏡が曇るほどエアコンを利かす『暑がりの森のくまさん』でさえ、文句を言わない。エアコンは2階の仕事場のみ。省エネの構法として、もっと普及してもいいのではと思う。

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家も服も「小さな気候」を造ることが初めの一歩。日光や風や雨から保護して、そして全身で呼吸するように。

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(礼)



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by trmt-ken | 2016-08-23 17:43 | 建築 | Comments(0)
モダニズムは武器?
建築にとってモダニズムは「一つの武器」であったのではないだろうか。武器を向けられる対象があり、構える主体は別にいる。
ネオ古典、ネオゴシック、東洋趣味など、なんでもありで混乱していた当時の様式に対し、風穴を開ける力を持っていたと思う。しかしながら、今本当にもう一歩を踏み出すには「一つの武器」があるだけでは十分でない。
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ロンシャンにて

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コルビジェは、造形への強い傾斜を持ちつつモダニズムで切り込んだ。ルイスカーンは古典や廃墟への思いを保持していた。バラガンは、土のにおいの豊かさを手放さない。スカルパに至っては、食卓のナイフのように古典を優雅に料理する。翻って、自身に何にもなくて武器だけもっていては未来は荒涼たるものだ。
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ベローナにて

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車に乗ると、決まって『モダニズム』についてひねくり回す夫婦の会話。で、いつも道をまちがえる。幸せというべきか、不幸せというべきか。
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(礼)

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by trmt-ken | 2016-07-05 19:57 | 建築 | Comments(0)
自邸建設の醍醐味
今年は若手スタッフ2名の自邸設計という楽しい仕事があります。
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-ブロックという素材-
2人とも複数の成長期の子供さんの母であり、そして自宅でも仕事もできればという『これからの女性の生き方』の課題の詰まったプロジェクトです。
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-中庭の四季-
ややもすると、森のくまさん(所長)が先走って有難迷惑な案を考え出します。別の仕事で煮詰ると煙草のように住宅を構い始める。やはり住宅設計は面白い。
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-木漏れ日のスクリーン-
思えば25年前の自邸での経験は、成功も失敗もみんなその後の栄養になった。こんなに楽しい経験は人生で何度もない。折々に、経過をブログでも発表する予定です。所長に負けるな。
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-浴室の蝶(ステンドグラスは友人の作品)-
そして住宅は建って終わりではなく、一緒に育つもの。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-06-14 09:47 | 建築 | Comments(0)
【平成の民家造り】過去と未来をつなぐ
進行中の住宅が古民家に似ていることに気が付いた。

古民家は好きではあるが、特に「古民家のような家を造ろう」と意識したわけでもないのに、どうしてだろう・・?

○なるべくコンパクトな家に住みたい
木造の架構・木組みを現わしたい
自然系の素材を大事にしたい
ローコストが良い。豪華である必要はない。
○家全体をワンルームと考えたい

などと案を詰めているうちに、古民家に似て来た。
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■Y邸の佇まい・姿
1階は3間×8間。
長手方向に左右対称の大屋根を架けた。
緩い勾配の切妻の大屋根に特徴のある、長野県の「本棟造り」に似ている。
本棟造りの家では、中央の2階には養蚕の部屋があるが、Y邸は吹き抜けとロフト。

■A邸のプラン
1階は3間×6間または4間×4.5間。
古民家の中でも、部屋数の少ない初期のものにプランが似てきた。
2階のロフトが片側に寄っているので、姿はモダンな片流れ。
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■M邸の配置計画
設計が始まったばかり、敷地が広い。
「農家の配置構成」が参考になりそう。

家族構成は、いずれも30代夫婦と子供数人。

「平成の民家造り」・・・です。
(和)

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by trmt-ken | 2016-05-18 19:59 | 建築 | Comments(0)
次の世代へ引き継ぐ建物-寺の再生-
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第26代目住職により、開山500年、築200年の節目を迎える庫裏の耐震改修事業にかかっています。折しも、熊本では大地震発生、必ず地震は来ると覚悟せねばなりません。
高台の比較的地盤の良い立地で、いざという時のよりどころになります。行事として何度も炊き出しやご接待の経験を積み重ねてこられた。
「どのような場所で、知人や世の中に別れを告げたいか」という問いとともに、「あそこにたどり着けば」、という地域の人々の安心感を受け止められるかを考えます。
古くて新しい寺へ。
構造担当は、新潟の汎構造設計の坂上さん。森のくまさんを自在にあやつれる数少ない友人です。考えること自身が楽しいと再認識して、南無阿弥陀仏。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-04-18 20:40 | 建築 | Comments(0)
月根尾寮が人気です
本日の中央新報にて、飯南高校の寄宿舎が人気とのこと。とてもうれしい。
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寮生活には私も思い入れが深い。留学中住んだパリ大学都市の日本館、スウェーデン館、ベルギー館、友人の居たスイス館(コルビジェ)、ブラジル館、イギリス館など、寮の暮らしはいろいろ見た。完全にそろっていない、食事やシャワーは外でなどのある種の不便さが、逆に孤独な学究生活の中で貴重な交流の機会になっていたような気がする。(ストレスからか体調を崩す人が出るため、寮生としていつも精神科の医者が入っていた。)
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赤の階段
ベルギー館の屋根裏部屋暮らしは1年。本棚とベッドを組合わせた巨大家具があり、「巨大な安心感」が底にあり、飯南高校寄宿舎でも参考にした。入口とクロゼットと洗面所の3枚の扉が同一意匠で、お客さんが帰りがけにクロゼットに飛び込む事故が頻発、クロゼットを整理整頓する癖がついた。

日本館の旧住民は館長夫妻を中心に、今もとても仲がよい。ジャポニスム様式の鉄骨造の安普請で音が筒抜けであったけれど、それはそれで懐かしい思い出。靴の生活で、特に上下階の音は悩ましかった。これも木造の飯南高校寮で参考にした。
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ワークショップ風景
家族単位でない住まい方は何か夢のようで、青春のにおい。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-04-14 21:55 | 建築 | Comments(0)
宍道複合施設が竣工します
外構工事にかかっていた宍道複合施設(公民館+市役所支所)が間もなく竣工します。
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駅に面し、北側に鎮守の杜が控えた好立地を活かしたいと思いました。前庭・中庭・庭園と外部空間が連続し、背景の社叢につながります。
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まだ植栽が育ちかねていて、月夜のトトロの行列に連なって「緑よ早くそだて!」と呪文を唱えたい気分です。背景の社叢に鎮座する氷川神社では中断されていたお祭りも復活、朝市や、ボランティアによるカフェや、生徒さんの待合わせなど、庭や庇下空間を利用した様々な活動の輪を期待しています。子育て支援室・バス待合を併設、みんな集まれ!
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(礼)

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by trmt-ken | 2016-03-15 20:55 | 建築 | Comments(0)
大社庁舎(ちょうのや)を残したい
本日3月11日の山陰中央新報に大社庁舎(菊竹清訓)の建て替え検討の記事が掲載された。
「島根の宝」を取り壊すのかと衝撃を受けた。
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最初に島根に旅したのは35年ほど前になる。歴史的建造物の保存や歴史をフランスで学んで帰国したばかりで、「歴史的環境に新しいものを創る」ということの大切さを叩き込まれてきたのだが、日本の地方においてこのような仕事がすでに達成されていることに仰天した。風土を感じ、起源に降りていく洞察力があれば、特別な歴史教育など必要ないのかもしれないと思った。フランスの先生や仲間に自慢したいと思った。

その時の旅行で隠岐・山陰・山陽と縦断し、稲はでの形状変化に見入った。農という、信仰の基礎となるものを主題に据え、また敬意を払うべき主殿に対する構えなど、これ以上の回答は考えつかない。 何らかの保存の手立てはとれないだろうか。大社の遷宮のように、長い歴史の中でよみがえらせてほしい
(礼)

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by trmt-ken | 2016-03-11 11:36 | 建築 | Comments(0)