すみか(住処・棲家)の自然-(2)

組積造建築

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荒島石の蔵(安来市)・ 木骨石造の倉庫群(小樽市)


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木骨石造の教会(五島市)・  鉄骨煉瓦造の体育館(浜田市)


日本各地に残っている石造や煉瓦造の建物(組積造建築)はどれもしみじみとした味わいを持っています。あらためて写真に見入っていると、「どうしてこのように魅力的な建築が作られなくなってしまっただろう?」という疑問がわいてきました。世界のどこかに石造のモダニズム建築はないかとネットで探したところ、フィンランドに「岩の教会」が見つかりました。1969年に完成したテンペリアウキオ教会。岩盤をくりぬき自然光が降り注いでいるこの教会は、モダニズム建築の傑作と思います


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石造の現代建築 テンペリアウキオ教会


座標軸

私たちの時代の建築は今どこを漂っているのだろうかという問い(漂うモダニズム・・・槇文彦)に答えるには座標軸が必要と思い、年表を作ってみました。Y軸には工業化度を取りました。モダニズム建築は産業革命以降の工業化社会にふさわしい様式を求め始まったので、自然からの距離の取り方が漂っている現在地を示す」と考えたからです。

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コルビュジェは北アフリカの集落に感動し何度も訪れたということです。コルビュジェもそうなのか・・・年表の原点をとるならそこかナ・・・・・と。



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ロンシャン教会・ コルビュジェが何度も訪れたというガルダイア

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木造民家・ 石造の初期ロマネスク教会・ 煉瓦造の街並


後期モダニズム建築の混乱

モダニズム建築の発生から50年後の1970年代は、経済や文化など各分野で転換期と言われています。それまでを「前期モダニズム」、それ以降を「後期モダニズム」と呼ぶことにしました。第二次世界大戦後日本など世界各国が経済発展を遂げるなかで、前期には緩やかに進んでいた建築の工業化が、後期では加速度的に進展しました。コンピューターの使用による構造や設備の解析・計算、CADの導入、新しい工法や建材の発達などが大きく影響しています。

建築は自在かつ多様になっていきましたが、その一方で向かうべき方向性を見失い「建築はテーマ無き時代に入った」と言われる様になりました。「建築」は住むために作るので、「すみか(住処・棲家)」と言い換えることができます。後期モダニズム時代になって慣れ親しんでいたはずの「すみか」が大きく変質し、ヒトに対しよそよそしいもの(ヒトを疎外する建築)に転化して行ったのではないか・・・。


すみかの自然・ヒトの身体性

後期モダニズム建築にも傑作は多いのですが、大きな流れとして俯瞰すれば「自然やヒトの身体性から遠く離れ、テーマを見失ってしまった」時代に入り、年を追うごとにその傾向は進んでいるのではないか・・・と思います。

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ソーク研究所(前期モダニズム)・代々木競技場(前期モダニズム)

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グガルン邸(後期モダニズム)・ 現代都市


歴史的集落や古建築(古典と総称)の価値を継承するモダニズム建築を求めることは、「ヒトと自然の関係性を見直し再構築をめざすこと」であり、モダニズム建築の主要テーマの一つ・・・と考えています。

漂うモダニズム(前掲)に示されている「人間をどのように考えたかについての表明としての建築」という言葉を、「自然や古典をどのように考えたかについての表明としての建築」と受け止めています。                             
                                    (和)



「土なモダニズム」について―モダニズム建築の現在より-





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by trmt-ken | 2017-07-12 18:54 | 現代建築の現在 | Comments(2)
Commented by めぐみ at 2017-07-18 23:34 x
はじめまして。いつも楽しみに拝見させて頂いています。
組積造、私も好きです。
今、自宅を建築中です(実施設計の段階)。自宅を設計するにあたり、清光院下の家を見て、CB造にしたい!と思ったのですが、千葉の海岸近い地盤の弱い土地柄や敷地の狭さで諦めざるをえませんでした。結局木造ですが、設計者のアイデアで面白い木造になりそうです。設計者は組積造で有名な近藤春司さんの事務所出身の方です。
Commented by trmt-ken at 2017-07-19 05:55
> めぐみさん
思いがけず遠方に読者がおられることがわかり、とても喜んでおります。清光院下の家は自宅で、住んで25年になります。CB ブロック造にしたいう方はたまにおられて、現在2軒進行中です。
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