時間に忍び込む影
メールが不調、電話も不調で、落ち着かない数日を過ごす。奇妙にイライラしているのに気づく。スマートフォンは使っていないし、並みの人より情報におぼれてはいないはずなのに。
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本物だったら悲鳴だけど、木製なのでかわいいねずみ(ミントさんにて)

対照的な体験がある。3年間の留学中電話なし、テレビなしの生活をした。新聞は数日遅れが談話室にあるだけ、おまけに語学力の不足から、意識して聞こうと思わなければ自然に言葉が聞こえるということもなかった。不思議な静寂。古建築に集中して修行僧のように過ごす。先立つ白井晟一先生の下での日々から4年あまり、宝物のような時間であったと思う。

もちろん図面は手描きであった。レポートも手紙も手で書いた。・・機械の手を借りるようになって、自分の時間に何かが忍び込んできているような錯覚がある。モモの時間泥棒のおじさんみたいな見えない影。

3年の間に1回だけ東京の家に電話した。帰路途上のイスタンブールより「成田まで迎え頼む」。成田から東京までの電車賃にも事欠く綱渡りの生還であった。今一度あの体験をするかと問われれば身構える。あの世への階段の踊り場のような。危険かつ甘美な一歩。
(礼)

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by trmt-ken | 2017-01-19 13:22 | 折々に・・・ | Comments(0)
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