吉阪隆正の長い影法師- 江津市庁舎によせて-
11月18日(金)には吉阪隆正設計の江津市庁舎についてのシンポジウムがある。
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江津市庁舎シンポジウムパンフレットより:現況とは印象が異なる
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江津市庁舎現況:現在のカーテンウォールは幾分おとなしい。

「吉阪隆正の方法」(斎藤祐子)を読む。吉阪先生と直接お話できたのはわずかだが、長くのびた影を踏んで歩いてきたんだなと懐かしい気持ちになった。先生は戦後フランス政府給費留学生第一号。日本館(薩摩屋敷)に住まわれた。
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-江津市庁舎模型「吉阪隆正の方法」斎藤祐子著164Pより
突き出し部分の下面がせりあがってA字の橋脚と呼応している。

渡仏をめざして夏から勉強し始め、冬には留学生試験があった。面接は吉阪先生。私はまだ会話もおぼつかなかったため、作品をなるべくたくさん持参して、しゃべらずに済ませようという作戦をたてた。しかしそうは問屋がおろさず、途中からは日本語になってしまった。そんな無謀な学生に、「あなたフランス人に日本語で説明しますか?」とにやりとし、しかし通してくださった。
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ヴィラ・クウクウは大好きな住宅。動物のよう。無駄がなくて飾りがなくて、本能のまま存在している。「どうだ!」と。
その後パリに先生が見えた折に建築関係者が集った。吉阪研の面々のアフリカでの冒険譚、人間とは思われない野性的食生活に恐れをなした。エスカルゴやカエルやウサギさえ遠慮する私としては。先生はその後まもなく亡くなる。日焼けした仙人のように知性と野性が同居した風貌で、三途の川さえも楽々と越えて行かれただろうか。
(礼)

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by trmt-ken | 2016-10-26 18:40 | 建築 | Comments(0)
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