小説から音楽はきこえないか
f0202518_21505792.jpg
ハーベストビル・松江市
平成はじめに設計したハーベストビルは、その後の平田図書館やコンクリートブロック造の住宅につながる建物。
f0202518_11551872.jpg
自邸コンクリートブロック造中庭

建築と音楽との共通性についてはよく言われるけれど、時に文学からも音の響きが聞こえることがある。たとえば高村薫『レディ・ジョーカー』。ストーリー・細部の緻密さ・人物の魅力はさておいて、言葉を使った変奏・転調・展開はほとんど音楽のようだと思う。ある心の動きをAとすると、A', A+, A-, 反転A, 裏返しA, 倒立Aなどのように進行し、追う刑事と追われる犯人やが受け繋いでいく。反復する事件・自殺。
たとえば『源氏物語』。似通った心理のあやが、位相をずらしながら繰り返し繰り返し現れる。
そしてまた、たとえば『ハイジ』。山の体験が最初のハイジ、心を病んで帰郷したハイジ、新天地でのクララへと繰り返される。
パウル・クレーは自らの作品に対し、切り取り、裏返し、並べ替えといった操作を意識的に行ったことが分かっている。『おわらないアトリエ』展(2011年)
フェルメールやクレーの絵から音楽が聞こえるように、小説にも響きがあると思う。

ところで、音楽分野の人はどのように絵画を見、小説を読むだろうか。oto, note, tone, tune... ひそやかに進行する、記憶と時間と反復の感覚。小説を読んで、知識を得ようという人はいまい。読む喜びは言葉の手触り、そして言葉による音楽を聴くことではないだろうか。

f0202518_21531232.jpg
平田図書館夕景
f0202518_21535114.jpg

平田には、妻入りの町屋が並ぶ街並みがあった。そのイメージを引き継ぎながら、敷地に合わせ雁行配置としている。内部はハーベストビルが展開した形式をとる。ハーベストビルは、私共も入居していたテナントビルで、ブロックの壁等いろいろな要素の種・原型が詰まっている。harvest収穫よりも種まきの建物であった。
写真:古川誠
(礼)

[PR]
by trmt-ken | 2014-06-19 22:15 | 折々に・・・ | Comments(0)
<< 【ご案内】土な建築・土なモダニ... 【お知らせ】ジャパングラフ森善... >>